【ライブハウスを減らせ】ライブハウスの現状と実態とこれから

ライブハウスはこれからどうなっていくんだろうかプレイヤー向け

どうも、ヤスイです。

僕のバンド、Hecatoncheir sisters(以下、ヘカトン)は現在、屋外活動を自粛していて、ライブ活動はしていません。
が、ヘカトンがライブバンドであることは変わりないし、できるものなら年明けから中止になったツアーをもう一回やりたいし、それ以外でもお世話になったライブハウスを回りたいと思っている。

で、ご存知の通り、新型コロナの影響でライブハウスは苦境に立たされている。

ということで、ライブハウスがこれからどうなっていくのか、どうなっていくべきなのかを少し考えたい。

ちなみに、ちゃんとリサーチしたり、ライブハウスの人にインタビューしたりして書いているわけではないし、ライブハウスで働いているわけでもないので、完全に僕の私見。
ただ、僕は高校生の頃からライブハウスにはお世話になっているし、社会人になってからヘカトンを始めるまでの数年間はお客さんとしてライブハウスに行っていた。そこそこ知っているし、そこそこ大事に思っている。

それくらいの立場の人間が書いている、という程度で読んでください。

ライブハウスの現状

ライブハウス新基準は文化の危機

僕は以前、「新型コロナとバンドマンとライブハウスと」という記事で、閉店するライブハウスが増えてきていること、それらを救おうとする動きもあることを紹介しました。
その後「ライブハウス新基準は文化の危機」という記事で、今ある規制の動きがどれだけライブハウス、この文化全体にダメージを与えるかを紹介しました。

それから4ヶ月ほど。じゃあ今はどうなっているんだって言うと、意外と情報が少ない。
まあ、よくも悪くも関心が薄れてるんでしょうね。今年の3〜6月頃、ニュースでも普通にライブハウスが話題になってましたからね。
ということで、現状を簡単に紹介。まずは運営状況から。

ライブハウスの閉店・運営状況

こういうニュースも多かったけど、最近はライブハウスでクラスターが発生したとかは効かなくなったよね。

こういうニュースも多かったけど、最近はライブハウスでクラスターが発生したとかは効かなくなったよね。

ここについて統計情報とかあればいいんですが、見当たらない。5月くらいはライブハウスオーナーのインタビュー記事とかもいっぱい出てて、「このままだと8割のライブハウスが閉店する」とか言う話もありましたが、現状そこまでではなさそう。

わかりやすい理由は3つ。
1つは助成金。僕も詳しくないけど、そんなに出して大丈夫なのってくらい助成金の種類が多い。いや、当事者からしたらそれでも少ないわって感じかも知れないけど、一体どこからそんな財源出てきてるんだって思うくらいの大盤振る舞い。

新型コロナ聴きからライブハウスを救う活動

この企画は1.5億も集めたらしい

2つ目はクラウドファンディング系。「新型コロナとバンドマンとライブハウスと」でもいくつか紹介したけど、有志でライブハウスを救おうという動きが色々ある。
「LIVE FORCE, LIVE HOUSE.」という企画は1.5億。僕自身も購入した「SAVE THE LIVEHOUSE」は1500万。
「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」は金額はわからないけど47,415件の支援。1口1000円としても4700万円くらい。

この他にも色々あるし、ライブハウス自身がやっているクラウドファンディングもある。小規模なライブハウスだと10万、20万で閉店するかどうかの判断が決まることもあるからね。
こうした取り組みによるものも大きい。

そして、ライブ配信。僕らがよく出演していたライブハウスも、映像機材を取り入れてライブ配信を前提としたイベントをやってるらしい。インターネット配信であればキャパ制限はないから、小さいライブハウスほどチャンスは大きい。
これもコロナによって一気に普及した文化だけど、ライブ配信はこれからもライブハウス、アーティストの収益の1つとして残り続けるだろうね。

とはいえ、「閉店開店」という信ぴょう性がよくわからないサイトを見る感じ、毎週どこかのライブハウスが閉店している。
まあ全国に数千店のライブハウスがあることを思えば、8割潰れるような状況ではないが、支援する仕組みがあるし、世間的にも注目を集めたから持ちこたえているだけで、厳しいには厳しいと思う。
コロナが冬に更に被害拡大したら…どうなるかはわからない。

ライブハウスの規制状況

9月から営業再開したライブハウス新宿ACB(アシベ)のように、独自のガイドラインを公開するところも多い。

9月から営業再開したライブハウス新宿ACB(アシベ)のように、独自のガイドラインを公開するところも多い。

個人的に気になっているのは、ライブハウスの規制がどうなっているか。ライブハウス新基準はさすがにわけが分からなかったし、告知以降なんの情報も出てこないから施行されているのかどうかもわからない。
とはいえ、僕らもライブがしたいし、付き合いのあるライブハウスに顔出すくらいはしていきたい。

ライブハウスの規制は以前、日本ライブハウス協会が出していて、あれからどうなったのかなって思っていたんですが、9月25日に「ライブハウス・ライブホールにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」が改定されたみたいです。

ということで、ここからいくつかピックアップ。まあ基本方針とか細かい点は置いといて、具体的な対策だけ見てみましょう。
あ、これライブハウスに観に行くお客さんはともかく、出演者側は全部目を通しておいたほうがいいよ。

まずは一番気になる収容人数について。

店舗事業者は、公演主催者に対して、従前の収容人数の50%程度にて公演を開催するよう要請してください。但し、次のいずれにも該当するものに関しては、収容率100%を妨げないものとします。(環境音楽、トークライブ、アコースティック演奏、ジャズ、シャンソン、ブルース、フォーク〔以上演奏及び観客の態様が静かな場合に限る〕に限る。)

a) これまでの当該出演者・出演団体の開催実績において観客が歓声・声援等を発し、又は歌唱するなどの実態が見られないもの。
b) これまでの開催実績を踏まえ、マスクの着用を含め、個別の参加者に対して感染防止策の徹底が行われうるもの。
c) 発声する演者と観客間の距離が適切に保たれている等、感染防止対策が適切に実施されるもの。
d) ライブスペースを含む店舗内は余裕を持って座席が配置されており、着席を前提とする営業形態であること。
e) 公演中にライブスペース内で食事及び飲酒をさせないこと。

50%がベースにはなっているものの、条件を満たせば100%入れていいみたいですね。ほとんどのライブハウスは該当しないと思うけど。
緊急事態宣言で営業自粛要請が出ていた時、その後も20%くらいの収容人数で細々やってたときのことを思うと、緩和されていっていると考えていいと思う。

ただ問題は、キャパ200〜400くらいのライブハウスの大半はサバ読んでるという点。キャパ200のライブハウスは100人入ったら感覚として満員になる。この辺が実態としてどうなってるのかは気になるところ。お客さんからしたら「え、50%上限だから安心して来たのにびっしりじゃん!」ってなるかもしれん。

店舗事業者は、公演主催者及び来場者に対して、出演者(演奏者・歌唱者等)と観客の間の距離を、なるべく2m確保するよう要請してください。それができない場合は、出演者から飛沫が拡散しないための適宜の対応(発声部分を中心に透明の遮蔽物を設ける等)を行うなど、飛沫感染対策を行ってください。

店舗事業者は、公演主催者及び来場者に対して、公演中も常時マスク(やむを得ない事情のある場合にはフェイスガード等)の着用を要請してください。

マスクを持参していない来場者には、主催者側で配布できるように要請し、着用率100%を担保してください。

来場者と接触するような演出(声援を惹起する、来場者をステージに上げる、ハイタッチをする等)は行わないようにしてください。

場内における大声での歓声・声援は控えるよう促してください。大声を発出する観客には注意喚起をおこなえる体制を確保してください。

この辺も前々から言われてることだけど、ライブハウスの楽しみ方には結構影響する部分ですよね。
他にも細かい点が色々あるけど、全部守ってたらスタッフが過労で倒れるくらい大変。不特定多数が集まる以上、消毒やマスク等のエチケットはある程度来場者に任せるしかないとも思うけど、そうもいかないんだろうね。

チケットシステム等により事前に把握している範囲で、公演ごとに、来場者の氏名及び緊急連絡先を把握、名簿の作成に努めてください。また、来場者に対して、こうした情報が必要に応じて保健所等の公的機関へ提供され得ることを事前に周知してください。

現金の取扱いをできるだけ減らすため、オンラインチケットの販売や、キャッシュレス決済を推奨します。

これは結構ポジティブな変化じゃないかな。ヘカトンは今年頭からキャッシュレス決済を一応取り入れてたけど、感染症対策云々じゃなく、キャッシュレスという選択肢があるのは双方にとって良いことだと思う。
あとはキャッシュレス業者がバンドマンの申込みをやりやすくしてくれたら言うことない。

あと名簿もありがたい。ほんと、誰が来てくれたかわからないのは、僕らとしてもかなり困るし。

その辺のメリットも考えたら、いくつかの取り組みは今後も残っていくんじゃないかな。

まあざっくりまとめると、一部の楽しみは当然制限されているし、スタッフの負担も増えているだろうけど、ライブ自体は開催できるようになっている、という感じ。

ヘカトンの物販ではキャッシュレス決済としてAU Payを導入

ヘカトンの物販ではキャッシュレス決済としてau PAYを導入

ライブハウスはどうなっていくべきか

ここからは愚痴も混ざる。僕はライブハウスは好きだし、これからも行き続けると思うけど、不満も多い。
で、その不満に思うところも良さに感じる部分があるのは確かだけど、多分そういうスタンスはこれからの時代、通用しない。

コロナでダメージを受けたことは間違いないし、社会的に関心が増したことも確か。
このタイミングで変われないなら、ライブハウスという文化は徐々に死んでいく。10年前と比べて、世の中には楽しいものが無数に増えた。それでいながらライブハウスの楽しみ方を変えないなら、死んでも文句は言えない。

入り口くらいキレイにして

まず単純なところ。ライブハウスの入り口なんとかしてほしい。
まず、頑張って探し出してもなかなか辿り着けない場所にあることも多い。バンドマンでさえなんとかならんのかと思ってるんだから、お客さんはその10倍思ってる。
そして入り口。まあ防音とか家賃の都合上、よくわからないビルの地下に作らざるを得ないのは仕方がないとして、入り口から漂うやる気の無さがすごい。これは大阪でバンドやり始めてより強く思った。田舎のライブハウスは割と規模が大きいから目立つし、東京のライブハウスは看板とか出入り口をちゃんとデザインしてる。
場所がわからない、入り口のデザインが雑。客商売としてはかなりやばいこと。

マーケティングをやれ

今だにライブハウスの多くは、Twitterをイベント告知にしか使っていない。おっさんしかいない中小企業でももう少しマシな使い方してる。
TikTokで話題の三和交通さんとかね。言い方は悪いけど、タクシー会社のおっちゃんでもできるんだから、エンタメを提供しているライブハウス側ができないわけがない。

@sanwakotsu##リクエスト ##汗だく ##tiktok教室 ##おうちで過ごし隊 ##白目チャレンジ ##ハートください ##三和交通 ##タモリ倶楽部 ##アド街ック天国  Instagramからリクエスト頂きチャレンジしました1回目難しいですが徐々に出きるかと思いきや体力が(笑)♬ Blinding Lights – MACDADDYZ

方法はともかく、ライブハウスはライブハウスでマーケティング考えないとまずいよね。

その流れというか、それも一つの要因として、次の愚痴にいきましょう。

ライブハウスを潰してライブバーを作れ

ライブハウスの収益構造

ライブハウスの収益構造

ライブハウスを守ろうみたいな記事で言うことではないけれど、今のライブハウスは数が多すぎて腐っている。

ロジックは単純。

まず、ライブハウスの数に対して、そもそもそんなにお客さんが存在しない。日本に2000店舗のライブハウスがあるとして、平均キャパが200とする。で、基本毎日営業しているところがほとんど。
じゃあ月に1回ライブハウスに行く人が何人いたら良いのかって、1200万人(2000店舗×キャパ200人×30日)。それだけいれば、全国のライブハウスが毎日営業して、毎回満員になるわけだけど、月に1回ライブに行く人が1200万人もいるとはさすがに思えない。
1人が月に2回行って、平均キャパを100人(実態はそんなもんじゃないかな)にして、月20日営業で考えたとしても、まだ結構な数。
つまり多くのライブハウスはチケットやドリンクの売上だけでは成り立たない

じゃあ、どこで儲けるかというと、出演者、バンドマンからのノルマ。それ自体は悪いことじゃないけれど、ノルマのシステムによって、バンドマンがライブハウスの”お客さん”になってしまうことが問題。本来、ライブハウスとバンドマンは協力してお客さんに最高の体験を提供する仲間であるはずなのに、お客さん扱いされてしまう。
これは健全な関係ではない。バンドの質も上がらないし、ライブハウスはフロアががら空きでも楽屋がパンパンだったらそれでいいことになる。

なので、ライブハウスとライブバーを分けて、新人や趣味でやってる人はライブバー、集客力があってもっと上を目指す人はライブハウス、みたいになればいいと思う。
ライブバーはお酒やその場の空気感が主役だから、新人バンドマンは集客に奔走してさらにノルマ払うなんてことしなくていい。そういう環境で、酒に夢中になっている人を振り向かせる音楽を頑張ってやる。
ライブハウスは音楽が主役で、ちゃんとその実力を持った人が行く環境になれば、お客さんも集まりやすくなる。

まあ1つの理想論かもしれないけど、少なくともバンドマンをお客さん扱いするのをやめないと、全体的に腐っていくよね。
会社でいうと、営業赤字をマイナスインセンティブで補うからお客さんがいなくてもいいやと管理部門が考えてるみたいなもん。
バンドマンもしんどいからライブしなくなるし、ライブの質が下がるからお客さんもライブハウスが楽しいものだと思わなくなる。

さらなる非現実を創れ

ここについては、僕が以前書いた「13歳からのアート思考」から音楽にできることを考えた記事でも触れたので、ぜひそっちも読んでほしい。3記事に分かれた結構なボリュームだけど、好きな人は楽しめるはず。

第1弾
第2弾
第3弾

ライブハウスだけじゃなく、エンタメってのは基本的に非現実を提供するためのもんなわけです。もちろん程度や方向性の違いはあるし、日常に入り込むタイプの音楽、エンタメもあるけどね。
何気ない日常を歌って共感を得る曲も多いけど、それも現実そのままじゃない。「わかるー」とか言ってても、まんま同じ体験はありえないし、「わかるー」より「わかりたい」というのが本音だと思う。こんな恋愛してみたいなとか、あの時こんなふうに考えていたらな、とか。

まあ音楽そのものの話じゃなくて、今はライブハウスの話。
ライブハウスなんてまさしく、非現実空間のはず。

ただ、今はスマホの中に無限の非現実空間があるわけだ。僕はスマホゲームなんて、初期のにゃんこ大戦争以来やってないから知らないけど、すごいらしいね。SNSでもキュレーションメディアでも、なんでもそうだけど、ものすごい量の非現実、エンタメを提供してくれる。

そこに対して既存のエンタメがどう立ち向かうかだよね。

映画なんて家でも見れるけど、最近の映画館はIMAXとか、4DX・MX4Dとか、家じゃ到底味わえないことを提供しているわけだ。4DX・MX4Dはまだ行ったことないけど、作品に合わせてシートが動いたり、風やミストとかの特殊効果がすごいらしい。Netflixがどれだけ普及しても、こういう映画館はなくならないだろうね。

まあ、どうすればいいかわからんけど4DX・MX4Dのライブハウス創るくらい、振り切った取り組みがあって良いように思う。

早くライブがしたい

ということで、今日はコロナの現状と、ライブハウスへの愚痴をいくつか。僕は絶対、来年からライブ活動を再開したいし、その時にライブハウスがちゃんと進化しといてほしい。

なんか今、でかい声で「ライブやります!来てね!」って言いにくいじゃないですか。僕らが自主的に年内の屋外活動を自粛したのも、僕ら自身が胸張って「いいライブするから来て!」って言えない状況でやりたくないから。
でも見ての通り、ライブハウス連盟がちゃんと対策ガイドラインを出しているし、少なくとも最近、ライブハウスでクラスターが発生したという話も聞かない。

まだまだ課題はあるにせよ、胸張ってライブします!って言っていい状況にはなってきているんじゃないかなと思う。

まあまた年末か年明けくらいにこうしたテーマの記事を書きたいと思います。僕自身、もう半年以上、ライブハウスには行っていないからわからないことも多いしね。

Hecatoncheir sisters:サブスク音源

Hecatoncheir sisters:Youtube

Hecatoncheir sisters:オンラインストア

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