どうも、Hecatoncheir sisters ボーカルのスマイです。
HORNnetの記事を読んでいる方にとって、あまり印象に残らないやつだと思います(全41記事中、俺が書いたのは1記事のみ)。
文章で何かを伝えるってのは、小学校の読書感想文以来、あまり記憶がありません。
でも小一の時、校内で最優秀賞とって昼の放送で読んだことあるんですよ。
題材にしたのは『がまんだ がまんだ うんちっち』
今回はその頃のソウルを思い出して大作をと意気込んでます。
今までは基本的に他アーティストや、プレイヤー向きの内容を紹介してきました。うちのバンドが登場することはあっても、「実は我々もバンドしてまして。暇でしょうがない人はチェックしてみてください」くらいの控えめな姿勢で臨んでたわけです。
で、思ったわけです。「もうぼちぼち俺らの話してもいいんじゃないか」と。
まだ早い?そう思った方はそっとブラウザを閉じてください。我慢して読んでください。おっと、低姿勢が板についてきたようです。自粛のしすぎかな?
1st mini album ‘virgin’ のセルフライナーノーツ
というわけで今回はバンドの成り立ちと1st mini album ‘virgin’ について書いていこうと思います。
Hecatoncheir sisters 結成
現在、スマイユウキ/Vo ヤスイユウヤ/Gt ドウチタツヤ/Ba の3人で活動しているんですが、結成当初、正規メンバーは俺とヤスイの2人でした。
俺は2019年3月までは岐阜県の関ケ原町に住んでて、役所仕事の傍ら「the foodcourts(ザ・フードコーツ)」というバンドを組んで、社会人バンドとして4年くらいやってたのかな。今の自分の原点ってやつですかね。
「全国的な活動がしたい、東京へ行こう」という自分の欲望を押し通した結果バンドは解散。仕事をやめて東京に移る準備をしている最中、大学の後輩であるヤスイが「大阪来るならギター弾いてもええで。そのかわり年50本のライブするのが条件な」という、今思えばなんちゅー態度や。それを飲みました。飲んだと言うか、ライブがやりたくてメンバーが欲しかった俺にとっては願ってもない条件。
ろくに部屋探しもせず、ヤスイの一人暮らしに転がり込んだ。すべてはここから、「Hecatoncheir sisters」が始まりました。
まあ上記は生活の話で、活動についてもう少し詳しく書きます。
前後しますが、The foodcourts解散が2018年12月。実は「東京行こうぜ」と言い出す前から頭はバンドメンバー連れて東京に行くつもり満々だった俺は、部屋とかも目星つけてその前に武者修行やな、と各地のライブハウスに声をかけていて。それが全体的にポシャって、「ソロでもいいですか」と連絡をしている時でした。「ソロ名義とはいえ、別に誰かと一緒に出てもいいんよな」と閃いた。今までやったことない構成で自分の曲をやってみたいと。
そして大学のメンバーを中心に声をかけて「スマイユウキソロプロジェクト」発足。そこで初めてヤスイに声をかけました。他にも数人、現在は「青ヲヒメル」でKey/Choのシオン、ナイアガラビルディングのBa、Soonなど。「出れる時だけでいいから出て」っつって、先輩の無茶ブリにみんなよく応えてくれた。
幸い、the foodcourtsにおろそうと思って書いていた曲が数曲あって、それが「リゼ」「STAR LIES」「セイレーン」「満月」「星が降ろうと」。そう、ヘカトンを知っている人達には聞き覚えのあるタイトル。これを中心にカバー曲なんかも入れてライブをしてました。
その途中ですね、ヤスイと初めてバンド組もうかと話したのは。「東京へ行く」と話していた関係者からすると、はあ?大阪?となったことでしょう。少なくとも、手っ取り早く都会に住んで活動したかっただけなので、大阪市内に住むヤスイからの誘いはメリットしかなかった。学生時代の彼のギターが魅力的だったのももちろんありますよ。おまけみたいになっちゃったけど、これがでかい。
そうして4月。めでたく大阪へ引っ越し(ヤスイ家に転がり込み)、それまで話していた計画を実行に移す時。まず話題に上がったのは「ヤスイのリハビリ」。
3年?それくらい彼はライブの現場から離れてたんです。だからまずは「バンドの勘」ってやつを取り戻そうぜ、ってことでレコーディング。ライブより先に。
結成時点でスマイ28歳、ヤスイ25歳。新人バンドとしては決して若くない2人は、名刺がわりの一枚が欲しかったのもありましたね。曲も元々the foodcourtsに新しい風を、と思って挑戦した曲で自信もあった。
1st mini album ‘virgin’レコーディング
リハビリ中のヤスイ:「満月」
まずは活動の軸としてレコーディングしようぜとはなったものの、バンドとして活動するためにはメンバーが要る。そこで声をかけたのが元「theULTRALEA」のピエール、そして大学の同期ドウチタツヤ。この時点でのちに正規メンバーとして加入するとは俺らも彼自身も想像していなかった。
こうして、Hecatoncheir sistersは産声を上げ、処女作 ‘virgin’ を制作するに至ったのです。
スタジオに入る前に俺の弾き語りデモをメンバーに送り、ある程度固めた状態でスタジオ。3回くらい入ったかな。久しぶりにバンドサウンドで自分の曲。音を鳴らすだけで楽しかった。ピエとは初めて合わせたんだけど、外で見ているよりも熱くてアグレッシブないいドラマーだった。レコーディングに向けて、テンションは上がりっぱなし。思い出しながら書いてたらめちゃめちゃスタジオ入りたくなってきたぞ。コロナめ。
そうしてついにレコーディング。GWフルであるスタジオを借り切り、毎日通いました。エンジニアにはtheULTRALEAのギタリストSENA。彼もウチのメンバーには手を焼いたでしょう。でしょうというか、顔に出ていた。
特筆すべきは当時サポート、ドウチ。とにかく語彙力がない。やりたいことを説明できない。レコーディングに3時間遅刻してきた理由は、「自宅で練習が捗ったから」しかも練習していたのはレコーディング曲じゃない。よく正規になれたな。
逆にヘカトン始めてから驚いたのはヤスイのちゃんとした感じ。これはまた書けたらいいかと思うけど、ちゃんとしてる。感覚派の俺とドウチがいてもバンドが成り立っているのは理性で動く彼がいるから。お前学生時代丸坊主で青春パンクしてたやん。ビフォーアフターにも程があるぞ。改造人間め。
そんなこんなで一通りのレコーディングが済んで…ってわけではない。もちろん難航しました。ドラムのピエは1日で終えたのに対し、俺。ひとつには自分の限界のキーを出す曲が2曲あること。厳密に言えば限界ではないんだけど、自分の残したい声色で出すのが難しい。多少の歌詞の改訂も加えてたら、GWはみ出しちゃった。ひとりスタジオに入り、セイレーンと、星が降ろうとの2曲と最後まで戦った。SENAちゃん長期間ありがとう。
スマイのボーカル録り:リゼ
ここからはそれぞれの曲の解説をしていこうかと。やっとタイトルに戻ってきた。
‘virgin’セルフライナーノーツ
リゼ
たぶんイメージができたのは一番古い。2017年にはthe foodcourtsにおろしてる。メンバーにスルーされたものの、自分ではめちゃめちゃ自信があって温めていた。サビの「リゼ お前が書いた歌 そこに出てくる街に行きたい」の一節が浮かんで一気に書き上げた。たぶんギリシャとかの海沿いの街を思い浮かべながら、その街は架空のものなのか実在するのかもわからず行く方法はないかと巡らせてた。ちなみにリゼは「お前」を指しているんじゃなくて街の名前。これを曲聴いただけで言い当てた人は今まで一人もいない。
これとは別の曲にするつもりだったフレーズを弾いてたら、ヤスイがそれをもじってソロのフレーズに当ててビビった覚えがある。
STAR LIES
書いたのは2018年の10月かな。東京行こうぜっつって何の土産もないと説得力ねえなと思って、「Aコードから始まる曲」って縛りを自分に設けて、セイレーンと合わせて一晩で書いた。とにかく大冒険の曲を描きたくて、世界を旅するイメージで。深海にはずっとロマンを感じていて、いまだ知られていない大ウミヘビとかいるのを想像して、「わからない」ってワクワクするよなと。
満月
2018年12月だったと思う。びっくりするくらい綺麗な夜空を見て。その景色がこの曲として残ってよかった。現在、ライブでのプレイが一番変わった曲でもある。
セイレーン
「人と音楽やりたい」と思いながらもある種の孤独も感じていて、岩の上で独り唄う人魚と重なった。ヤスイのギターフレーズで結構悩んで、思い切ってシンプルにした。ドウチのベースフレーズが生きた曲。頭に入れた水泡の音が気持ちいい。
星が降ろうと
リゼのちょっと後くらい。自分の経験をAメロから順番に丁寧に書いていった。ヘカトンに下ろすまでに一番歌詞が変わった曲。この曲はアコースティックが一番かっこいいだろってなってヤスイにアコギを弾いてもらった。逆にバンドセットだとなかなかできない曲でもある。
B(CD限定収録)
この曲は大阪来てからオマケで書いてたんだけど、なんか超かっこ良くなったので急遽収録することに。でもあくまでオマケなのでCD限定収録。オマケなりに楽しみたくて、全パートせーので一発録り。だから演奏前に会話が入ってる。Bはベンジーの「B」。自分がベンジーだったとして、新曲書くとしたらみたいな感じで書いた。ライブでやりたい。
ジャケットデザイン
次に待っていたのはジャケットデザイン。cigarbillyという名前でデザイナーモドキをしてたので、いい機会だと。今回 ’virgin’ は収録にあたってテーマは初期衝動。荒々しい魂を内に秘めた、静かな誕生を表したかった。だから、外側はできるだけ静かで落ち着いたものに。ジャケットの女性像は、処女とヘカトンを産んだ聖母のイメージ。ちなみに表紙以外は著作権フリーの画像を漁ってきました。Unsplashという海外サイト、いつもお世話になっています。
しかしながら、初めてのガチデザイン。CDプレスの会社に連絡してテンプレートをもらい、自分でガイド引いてバランスを整えていく。ここでもヤスイのちゃんとしてる感じに世話になった。「こうしたら整うんちゃう?」「こうしてみたら」ホントちゃんとしてる。伝わんないだろうけど。
そんなこんなで、余裕もって6月30日リリース予定だったfirst mini album ‘virgin’ は7月末に手元に届いた。ここまでがヘカトンの初動。
長い自分語り、ここまで我慢して読んでくれてありがとう。でもこれはほんの序章。
この後、メンバーそれぞれにとって初めての自バンドMV撮影、ドウチの加入、セカンドミニアルバムのリリース、初の全国ツアーと動いていくヘカトン。それはまた今度書こうと思います。
では!