セルフライナーノーツ “Gold Fish Blues”

ミュージックビデオ「リゼ」の撮影風景リスナー向け
ミュージックビデオ「リゼ」の撮影風景

どうも、Hecatoncheir sisters ボーカルのスマイです。
今回はちょっと長くなりそう。わからんけど。

前回、2019年7月に発表した1st mini album “virgin”について、その経緯を語りました。

今回はその先。メンバー全員の音楽人生にとって”virgin”であるミュージックビデオの制作と、サポートベース ドウチタツヤが正規メンバーになる経緯、2nd mini album ‘Gold Fish Blues’のリリースについてだらだら書いていこうと思います。ドウチについては非常にあっさり書き捨てる予定。

新天地大阪でのライブ活動は忙しい

思い返すとこのバンド、結成以前からずっと忙しい。まあそうだよね。年間50本はライブすんぞって息巻いて結成したんだから。

ただここで問題が。

大阪難波結成と言いつつ、我々大阪のシーンを全然知らなかった。
’virgin’リリース後、大阪のライブハウスをGoogleマップで検索しまくって、ヤスイと手分けして自己紹介に回っていった。ついでに通行人にチラシ配ったりして。リモートセッション動画でおなじみのwachiさんも喫煙所で配ってたら偶然会って。「チラシには2人しか写ってませんが、もしかしてドラマー探してますか?」って。自分の足使うもんだね。彼は音楽知識も経験も豊富で、移動の車内ではメンバーそれぞれ貴重な話を聞かせてもらってます(大体助手席にwachiさんがいて運転するメンバーと話している。後部座席のメンバーは爆睡)。

リモートセッション知らない人のためにリンク貼っておきます。これはコロナの影響でライブ活動ができなくなった(というか、やらないと決めた)結果やり始めた、毎週リモートでセッション曲をリリースするという企画。

まあ、それは置いておいて、結成当初、大阪でライブ活動するのが大変だったという話。
メンバーもいないし、俺は岐阜から出てきたばかりだし、ヤスイも大阪でバンド活動をしていたわけではない。だからツテもなにもないからチラシを配り歩いてた。練り歩きの甲斐あってか意外にもライブはポンポン決まって、サポートの面々と相談して月4本ずつぐらいのペースでライブを組むことができました。
月4本って皆さん、多いと思います?それとも少ない?

平時フラフラしてるのは俺だけで、ヤスイもサポートメンバーも就職している身。
週一で土日にライブ。平日夕方にも。空いてる日にスタジオ。
個人的には深夜に路上ライブしに行ったりして。

少なくとも連絡くれたライブハウスは、よく実績もネームバリューもないバンドを快く出させてくれたもんだ。いいスタートダッシュが切れた。ありがたい。

ミュージックビデオ「リゼ」をリリース

次はミュージックビデオか。”virgin”に収録されてる”リゼ”という曲。

これを制作する経緯だけど、ヤスイはtheULTRALEAというバンドが「映画を作るぜ!」という企画に携わっていて、「クラウドファンディングのリターンとして1本MV作ってくれるんやけどやらへん?」と。クリエイターのアキミチヒラクは友人の一人だし、作品もほぼほぼ観てた。願ってもない。「やろ」と言うのに0.7秒もかからなかったと思う。レコーディング+ライブメンバーのドウチとピエールに声かけて、撮影は10月半ば。前日からウチに泊まり込み、クルマでばらけて現場へ。

ミュージックビデオ「リゼ」の撮影風景

ミュージックビデオ「リゼ」の撮影風景

もっと落ち着かないかと思ってたけど、舞い上がっていたドウチのおかげですごく冷静だった。誰よりもかっこよく映してもらおうとしていたサポートドウチはださい衣装を持ってきて、ツッコミの嵐。上から下まで全とっかえ+カラダに血のりで撮影に臨んだ。ちなみに俺が中に着てたマフィアみたいなえんじ色のシャツはピエールからの借り物。
たった4分の曲の映像を撮るだけで一日がかり。わかってはいたけど、撮影用のセットを移動したり、映像のチェックをしたり。ヒラクのプロの顔を見て、照れるやら羨ましいやら。
細かいテーマなんかも前日までにちょこちょこ共有したりしてたんだけど、当日になると思い通りにいかなかったりして。逆にだからこそ生まれるアイデアもあるみたい。楽しかった。
一つ納得いかないのは、ヤスイ普段より色っぽく撮れすぎじゃない?ヒラクのヤスイびいきか?

レコ発企画&ドウチ加入

ライブ、MV。そんな日々が続く中で、スタジオではすぐに次回作の制作が始まった。そのきっかけは「俺ら、レコ発してなくね?」。

そう、’virgin’を名刺代わりの一枚にしよう、と息巻いていたものの、このアルバムを主役にしたイベントを開催してなかった。
うっかりしてた、というやつです。

というわけで、次回作はリリースと同時にでっかくツアーしようぜ、つって早々にレコーディングスタジオを予約。ライブでできる曲はこっそりセットリストに組んで発表していった。

サポートベース として参加する中で、ドウチの中ではヘカトンに正式加入したいという欲が大きくなっていった様子。俺が席を外している間に、ヤスイに「入れてください」と頼んでいた。俺が席を外している間に。

その流れで、「次のアルバム、わいも曲作りたい」と言い出して。どの曲かは後述するけど、これがまたラフを出すのが遅い遅い。せっつきまくった結果、11月に予定していたレコーディングの初日は12月に延期した。

セッションベースで2曲、俺原曲ヤスイ編曲が1曲、ヤスイがふと弾いてたフレーズからヒントを得たのが1曲、俺が出したほぼそのまんまが1曲。そんでドウチ原曲の曲が1曲。
この編成で臨むことになって、たぶん一番ホッとしてたのはドウチだと思う。

レコーディングには前回に引き続きサポートドラムでピエールが参加。前回と同じメンバーだからわきあいあいと進行するかと思いきや、前回以上に難航した。
マジで笑い事ではなく、前回ほど曲が固まってなかったのもあり、レコーディングと編曲がほぼ同時。ここでも主にドウチくん。今回は友人ではなくプロのエンジニアなので、なかなか自分の出したい音を口では伝えられなくて四苦八苦。「あいあい」が通じない相手とのコミュニケーションは見ていてかわいそうだった。精進やで。

レコーディングの様子はこちらの動画に収録されてます。


結構スムーズに見えるようにいい感じに編集しているけど、実際はマジで完成しないんじゃないかってくらい行き詰まったタイミングもあった。

そんな中生まれたアルバムに付けた名は、’Gold Fish Blues’。まだ産声を上げたばかりの俺たちは、まだ金魚鉢の中。このアルバムを皮切りに、広い世界を見て回りたい。そういう思いを込めてます。

以下に、収録曲の紹介をしていきます。毎度のことながら前置きが長い。

’Gold Fish Blues’収録曲

0. キャットウォーク〜Gold Fish Blues Ver.〜

アルバムをアルバムとして1つの作品にするため、レコーディング最終日に急遽収録した曲。普段は俺の弾き語り曲として歌ってた。数年前、滋賀県大津市に行く機会があって、自分がそこに住んでいたら…そんな空想をもとに書いた曲。Gold Fish Ver.ということで、収録されているのはサビだけ。フルバージョンはまたどこかで発表するかも。

1. チアノーゼ

ドウチが「わいも曲作りたい」で外枠を作ってきた曲。メインリフはビビっときたねえ。それをスタジオでセッションして歌メロを乗せた。これでもかとブレイクを入れてるのはドウチの好みだけど、こんな曲も書けるんだなあと感心した。歌詞がない時のタイトルは’クラーケン(仮)’。

2. やってもうた

これこそがドウチが一曲入魂してきた曲。リフ、伴奏、歌メロまで作曲してきた。ドウチの鼻歌から歌詞を導き出して、思いっきりドウチを表現してみたけど、多くの人が葛藤する内容になったのではないかと(無論、俺も)。作曲はしてきたけど、これをヤスイが弾くとまたかっこいいんだな。仮題は’やってもうた〜また9mmや〜’。
今夏、待望のミュージックビデオ化。

1曲に2つも映像作品出しておきながらどちらもギャグ。まあ幸せな曲だと思います。

3. モンスター

‘virgin’をリリースする頃には弾き語りでもう歌ってた曲。バンド編成でやるにあたって、リフを変えてソロを差し込んで…って編曲をヤスイが担当。間違いなくヘカトン随一のポップソング。ライブでは全員で合唱してる。まずは飲もう。そして楽しもうって曲。

リリックビデオは2020年の十日えびすかなにかの出店で売られていたくるみ割り人形とよくわからないブリキのおもちゃ、ラクダの人形?を使って、部屋で撮影して作った。

4. シルク

なんかぶわっと感情が爆発して一気に書けた。言葉とか、体とか、境界線や輪郭に囚われて伝えたいことを100%伝えられないモヤモヤみたいな。心境はモヤモヤしてるんだけど、それをぶっ飛ばしたいから曲調は超ストレート。一人の人間として、一匹の動物として、一つの生命として、もっと自由でやわらかくなりたいなあ。

5. 宇宙の嘘

ヤスイが家でなんとなく弾いていたフレーズ。「ちょっとボイスメモに録って送って」っつって全体の構成をつくった。なんかすごくスペーシーな匂いがして。映画音楽みたいになりそうな予感がしてた。実際ミュージックビデオになってみたら、やっぱり映像を映えさせるよね。不思議だわ。
レコーディング前に超不完全なセッションをして、不完全なまま録った。だから外枠に対していろんな音を足していって。ギターの本来使わない場所を弾いたり、ボディ思いっきり叩いたり。ドウチのベースなんか、譜面っていうか絵を描いて、それを表現するために全部アドリブという。こんな曲を俺のバンドでやるとは思わなかった。初めて歌う6拍子が慣れなさすぎて、ボーカルブースで指揮しながら歌ったよ。大苦戦。口笛吹いて、五重くらいに重ねたかな?意欲作ってやつ。

6. GOLD FISH BLUES (CD購入特典)

アルバムタイトルと同じなようで、表記が微妙に違う。アルバム全体では「金魚鉢から宇宙に出たい」を伝えたいのに対して、この曲は「まだ金魚鉢の中」。前作’B’と同様に、一発ドンで録った。聴きたければCDの盤を買うしかないです(宣伝)。CDはヘカトンのWEBサイトから飛べるBASEで買えます(宣伝)。

hecatoncheir sisters powered by BASE
大阪難波発ロックンロールバンド「Hecatoncheir sisters」令和元年5月に始動した真っ白な初期衝動。結成後すぐ、ファーストライブをより前に撮ったミニアルバム「virgin」はガレージ、パンク、ロカビリー、オルタナティブ、ブルースどれとも違う音が鳴る

Hecatoncheir sisters Tour 2020 “金魚鉢から見た宇宙”

で、今回はリリース日がレコ発日に重なるようにしたくて。せっかくだからそこから全国10箇所を回るツアーにすべくライブハウスを探し出した。これまで出演したハコの店長や、友人のツテをあたってこちらもなんとか組ませてもらえた。ほんと、つながりでこの業界成り立ってるなあと実感した。

レコーディングと同時進行でジャケット・歌詞カード・ポスターを制作するにあたり、今回はWEB上で活躍中のアダチユキミさんに肖像画を依頼。魅惑的な金魚と生々しいヘカトンメンバーを描いてくれました。こういう別のジャンルで活動しているアーティストとのコラボも楽しみの一つ。

Gold Fish Bluesツアーフライヤー

Gold Fish Bluesリリースフライヤー

Gold Fish Bluesジャケットアートワーク

Gold Fish Bluesジャケットアートワーク

Gold Fish Blues原画

Gold Fish Bluesに使っているアートワークの原画

アダチさんのInstagramアカウントはこちら。
https://www.instagram.com/yuki19811027/?hl=ja

あと忘れてはならないのが今作から導入してみたダウンロードカード。”conca”って会社の。CD、俺はすごく価値があると思うんだけど、「場所とる」「曲が聞きたいだけ」「PCに取り込んでスマホに移すのが面倒」「今時サブスクじゃね?」こんな人は一定数いると思う。そう思って、CD限定収録曲も即座にスマホに取り込めるカードを作成。これがまた渋くて。

Gold Fish Bluesダウンロードカード

Gold Fish Bluesダウンロードカード-CDプレイヤーはないけどアートワークは楽しみたい、という人多いと思う。財布に入れといてもおしゃれ。

もしアーティストの人がこの記事読んで興味持ったのならこちら。
https://conca.cc/

12月頭からレコーディングした2nd mini album “Gold Fish Blues”は1月17日に録り終わり、スケジュール調整を始めたライブハウスの日程も煮詰まった。それがこちら。

Hecatoncheir sisters Tour2020”金魚鉢から見た宇宙”ツアーフライヤー

【Hecatoncheir sisters Tour 2020 “金魚鉢から見た宇宙”】

○2/16 大阪 心斎橋 AtlantiQs (“Gold Fish Blues” リリース)
○2/22 滋賀 彦根 COCOZA
○2/23 名古屋 大須 UNLIMITS
○2/24 岐阜 kingbiscuit
○2/29 大阪 塚本 エレバティ
○3/1 山形 酒田 MUSIC FACTORY
○3/7 福岡 天神 四次元
○3/15 広島 CAVE-BE
○3/20 東京 代々木 labo
○4/12 大阪 中津 Vi-code(無期限延期)

こうして、初の全国ツアーを目前にして背中に羽が生えそうな勢いのメンバーたち。
しかし、このツアーに忍び寄る影が…

その続きはまた長くなりそうなので次回の記事で書こうと思います。それではまた近いうちに。

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