新型コロナとバンドマンとライブハウスと

新型コロナとバンドマンとライブハウスとリスナー向け

どうも、ヤスイです。

今日は新型コロナとバンドマンとライブハウスと、というテーマで書こうかなと思います。それからHecatoncheir sistersとしてのスタンスや考えも。

個々人の立場によっていろんな感じ方があるにせよ、新型コロナウイルスの影響をかなり初期に、しかも大きく受けたのがバンドマンとライブハウスだと思ってます。もちろん医療従事者とか政治家とか、もっと前から影響を受けていた人たちもいますし、旅行業や飲食業のようにさらに大きな影響を受けているところもありますが、個人的な感覚としては。

2020年2月15日に大阪京橋ライブハウスArkで感染が確認され、他にもいくつかのライブハウスでも感染が広がって、2020年2月26日には政府からエンタメイベントの開催を2週間自粛するよう要請が出されました。
Hecatoncheir sisters Tour2020’金魚鉢から見た宇宙’が2月16日からスタートなので、まさに新型コロナの影響をモロに受けてました。基本的には呼んでもらっている立場なので、ライブハウスとかイベンターの判断に従うというスタンスだったんですが、前日までやるかやらないか決まらなかったイベントも少なくありません。

そのまま緊急事態宣言に突入し、5月いっぱいは継続が決定。当然、エンタメイベントの自粛も継続。クラスターって言葉も、ライブハウスで確認されてからメディアで使われるようになった気がします。ほんと、一時期はクラスターって言いたいだけなんじゃないかってくらい、クラスタークラスターって言ってましたね。

で、いわゆるコロナショックの影響で、潰れたライブハウスもあれば、解散したバンドもあるし、逆にライブハウスを救おう、エンタメ、音楽を救おうという動きもみられています。
まあ今日の本題は、コロナショックにおけるHecatoncheir sistersの活動方針についてなんですが、その前にその辺をみていきましょう。

あと、新型コロナとかコロナウイルスとか、コロナの影響とかコロナショックとか、言葉が安定してないと思いますが、多めにみてください。思ったまま書いてるだけなので、大体おんなじ意味です。

コロナショックで潰れたライブハウス

残念ながら、この記事を執筆している5月3日のタイミングで、新型コロナウイルスの影響で潰れたライブハウスもあります。
2月末から指示どおり自粛している場合、すでにまる2ヶ月売り上げがゼロ。当然、潰れるところも出てきます。自粛はあくまで強制ではないということで営業を続けるか、数ヶ月後には元どおりになることを願って借金するか、閉じるか。全国で6000〜8000くらいあるといわれているライブハウスのほとんどが、こうした判断を迫られています。
ということで、新型コロナウイルスの影響で閉店を発表したライブハウスをいくつか紹介。

ライブスペース音 新型コロナウイルス による閉店告知

画像:朝日新聞

大阪難波のライブスペース音は5月30日に閉店することを発表。Hecatoncheir sistersはメンバー全員大阪難波に住んでいるので、こんな近くのライブハウスが…と思うところがあります。出演したことはないですが、存在は知っていました。たしか2nd mini albubリリースのとき、フライヤーとCDを持っていきました。

VUENOSの閉店もニュースで見たとき驚きました。キャパ250人くらいの、すごいしっかりしたライブハウス。いつか出たいと憧れの対象になるくらい有名なライブハウスなんですが、VUENOSとその系列店のGlad、LOUNGE NEOが5月末に閉店。同じく系列店で600人以上のキャパがある渋谷Clubasiaを残すためのクラウドファンディングが立ち上がっています。
このクラウドファンディング、500万円の目標に対して、僕が見たタイミングで3000万円オーバー。どんな事態でも、ファンから求められている場所は残る。そう言うことだと思います。

新型コロナウイルスの影響による店舗存続を目指すクラウドファンディング

画像:CAMPFIRE

ただ、個人経営の小さなライブハウスだけでなく、系列展開しているライブハウスまで潰れるというのは、衝撃でした。実際僕も甘くみてたんでしょうね。ちゃんと経営してるところはなんだかんだ残るだろうと思ってました。

こちらは池袋カノープス。個人営業の小さなライブハウスで、言い方は悪いけれど、この規模のライブハウス、ライブバー、ライブスペースの多くはこの危機を乗り越えられないと思います。企業が経営していたらある程度の貯蓄があったり、特別な融資を得たりもできますが、この規模のライブハウスはたぶん貯蓄がないところがほとんど。もちろんVUENOSのように企業が経営していて潰れるところも出てきていますが。
ただ、小さなライブハウスの多くは、趣味の延長というと誤解があるかもしれませんが、儲けよりも善意や好意でやってるところが多いと思います。
カノープスを取り上げたのは、店長のインタビューが興味深かったから。

感染が収束したとしても、これだけライブハウスの印象が悪くなった中でアーティストやお客さんが戻ってきてくれるのか、信頼がどこまで回復できるのかと考えると、厳しい状況は続きます。これからも体力のないライブハウスはどんどんつぶれていくのではないかと思います。東京都の「感染拡大防止協力金」の50万円も、ひと月の賃料にも満たない額です。

引用:毎日新聞

本当にその通りで、たとえコロナ危機が去っても、ライブハウス始め、人が密集する場所から足が遠のくのは間違いないと思います。それくらい、新型コロナウイルスは人の価値観や考え、行動を変えてしまいましたね。
緊急事態宣言が解除されたからって、以前のようにライブに行きまくるかっていうとそんなことないと思います。

続いてCOLONY。北海道では有名なライブハウスで、早い段階で閉店を発表したこともあり話題になりました。北海道・札幌ですが、僕でも名前は知ってるくらい有名なライブハウスです。Hecatoncheir sistersとして、次のツアーでは北海道もいこうなという話もでていたのですが、その候補が一つ減ってしまいました。

ここでピックアップした以外のライブハウスも、閉店しているところは結構あります。ニュースになってない、僕の耳に入っていないものが大多数だと思うので、ひょっとしたらすでに数百件単位で閉店しているかもしれません。
ライブハウスという場所は、僕らにとっては一番重要な場所だし、お客さんにとっても大事な場所だったはず。まあ騒音とか治安とかで地域から嫌われているライブハウスもありますが、今の時代そんなライブハウスは少ない。なんだかんだ言ってバンドマン礼儀正しいし、ファンも地域への影響をちゃんと理解してるし、騒音問題も一昔前よりはかなりマシになってる。

それでもこうして潰れていくライブハウスがあるのは残念です。でも、コロナショックはライブシーンが大きく変わる一つのきっかけになると思います。
極論、日本全国のライブハウスが全部潰れても、ライブハウスという文化がなくなることはない。ライブハウスという空間でしか味わえないエンターテインメントは確かにあって、それを求めている人も確かにいて、なくなった後には必ず何か新しいものが生まれる。それは今までのライブハウスと少し違うかもしれないし、もっといいものかもしれない。

ライブハウスを救う活動

潰れていくライブハウスがある中で、それらを救おうという活動も出てきています。目立つのはクラウドファンディングや寄付、チケット代の前払いなど。それらをいくつか紹介します。

大小様々な企画があるけれど、これはかなり大きい企画。10-FEETやサンボマスター、MAN WITH A MISSIONなど、錚々たる顔ぶれのアーティストが賛同してる。それだけあって、しっかりした企画です。支払ったお金がどういう計算でどこに渡っていくのかが明確。
で、今は支援を受け付けていないんですが、5月中旬に第二次支援が始まるよう。僕は正直、全国のライブハウスを救おう、って言われてもピンとこないけれど、お世話になったライブハウスの名前があれば少しでも支援できたらと思います。

こちらは「SAVE THE LIVEHOUSE」という企画で、個人的にはここで支援しようかなと思っています。まあ「支援」というほどたいそうなことじゃなくて、この企画はライブハウスのドリンク代を事前に支払うというもの。つまり自分のドリンク代を今買って、また遊びに行った時に使うわけだから、支援する側のハードルも低い。
ライブハウスには観にいくよりも出る方が多い立場ですが、ライブ終わりの酒はうまい。だいたい1、2本は飲んでるから、それを前もって払っておくだけ。よく出演するライブハウスも見かけたので、この記事書き終わったら購入しておこうと思います。

こちらは「MUSIC UNITES AGAINST COVID-19」。バンドマン、アーティストが自分たちの作品によってライブハウスを救おうという企画。toeというバンドが発起人らしいですが、支援のお返しが音楽っていうのはめちゃくちゃいい企画だと思う。

これら以外にもライブハウスを支援する動きはいろいろありますし、ライブハウス単独でクラウドファンディングをやっているところもあります。こうした形で支援するか、どの企画、サービスで支援するかは個人の自由。
僕は「SAVE THE LIVEHOUSE」という企画が気に入っています。自分自身、ライブハウスは大切な遊び場。そこに遊びにいくお金を前もって払っておくだけなら払いやすい。逆にライブハウスが単独でやっているクラウドファンディングはあまり共感できないものが多い。
まあこの辺は個々人の感性とか価値観とかによるんで、何がいい、悪いとかではないと思います。ライブハウスによく遊びにいく人みんなが支援する必要あるかというと、そんなこともない。新型コロナの危機が去った後で、友達誘って遊びにいくのが一番の支援かもしれない。

ただこういう活動があるということは知っておいてもらえたら。

コロナ危機に対する我々のスタンス

さて、ようやく本題。といってもそんなに長くはなりません。今日、Hecatoncheir sistersとして、「2020年内の自主的な屋外活動の自粛」を発表しました。
まずはこちらを読んでください。

Hecatncheir sisters 新型コロナウイルスの影響による2020年内の屋外活動の自主的な自粛

Hecatncheir sisters 新型コロナウイルスの影響による2020年内の屋外活動の自主的な自粛

メンバーと相談して決めたことですが、この文章自体は僕が作りました。この画像に入っているのはHecatoncheir sistersの意思、決定。ここからは僕の個人的な意見とか、考えでちょっとだけ補足できたらと思います。

まず、この新型コロナウイルスについてどう考えているか。僕らはHecatoncheir sisters Tour2020を2月16日にオープンして、3月20日のツアー9本目、東京代々木laboまで回りました。その後、4月12日のツアーファイナル延期を発表。その後、緊急事態宣言が出されたので、どっちにしてもツアーファイナルはできなかっただろうと思います。
延期したツアーファイナルまでスタジオライブをインスタや17とかでやろうとしていましたが、スタジオが閉まったので4月2日と6日だけしかできず。

こうしてみると、新型コロナに対してもかなりギリギリまでライブ活動を続けていました。
そんな我々が一転、2020年内の屋外活動の自主的自粛です。

なんで急に方針転換したのかって、まあ実際は急じゃないんです。2月16日のツアーオープンよりもさらに前、ツアーファイナルの打ち合わせで中津Vi-codeに行った時も、「このツアー、最後までできないかもしれないですね」みたいな話はしてました。
その後もツアーで山形とか福岡とか行きましたけど、その車の中での話題の中心はコロナについて。すみません、それは嘘かも。割とどうでもいい話で盛り上がったり、ゲームとかしてました。
ただまあ、遠征ライブに向かう車の中でも、本当に行っていいのか、という話は常に出ていました。

3月20日、東京代々木laboの帰り道と、その後のミーティングで、4月12日のツアーファイナルの延期を決めました。後一本だし、ここまできたら最後まで走りきっていいんじゃないかっていう意見もあったんですが、こんな状態で気持ちよくライブができるわけがない。観にくる人も、心から楽しめるわけがない。ということで中止。

それはよくて、2020年内の屋外活動の自粛についてですね。ちなみにこれは一瞬で決まりました。
というのも、緊急事態宣言が発令されてからメンバー3人が集まることもなく、活動方針があやふやだったんです。Vo.スマイとBa,ドウチは一緒に住んでるから2人でいろいろ話してたと思います。6月7月には既に何本かライブが決まっていたけれど、それもどうすんだってことで、LINEのビデオ通話でミーティング。
なんか2人でしゃべってもあやふやなままだったらしく、僕からどっちか極端に行こうと。つまり、新型コロナの影響がどうなろうと、ライブバンドとしてライブパフォーマンスを届け続けるか、一切ライブせず別のエンターテインメントを届けるか。
僕がこう言ったのは、他者に振り回されるのがめちゃくちゃ嫌いだから。緊急事態宣言が解除されたら、とか、世論がライブハウスを許容したら、とか、そんなこと気にして活動するのはめちゃくちゃめんどくさい。叩かれようが批判されようが、それはどうでもよくてとにかく主体的に計画して動きたい。

前者に決まってたら多分批判も多かったでしょうね。ただ、それも悪いことじゃないと思います。こんな事態でもどうしてもライブが観たい、自粛で頭がおかしくなりそう、こんな時こそ思いっきり楽しみたい、という人はいますし、ライブをしないということはそういう人たちを見捨てることになる。
だからこの決定も、正しいと思ってやっているわけではないということは知っておいてください。別に僕らの決定は正しくはないし、正義でもないし、半年後には僕ら自身が後悔しているかもしれない。何より、こんなスタンスをとるバンドが増えたら、それこそいくら支援してもライブハウスは潰れてしまう。

とにかく1回のミーティングで2020年内の屋外活動の自粛が決まりました。
屋外活動っていうと、ライブはもちろん、路上ライブとかスタジオとか、とにかく家の外に出ること全部です。ミュージックビデオの撮影も屋外はなしです。

告知画像の中でもちょっと書いてますが、実はもっと細かく決まってます。

・ライブ、スタジオ、3人で集まることも基本自粛
・お世話になった人の送迎会(歓迎会はなし)、親族の冠婚葬祭などがOK
・音楽関係の外出も基本NG (機材トラブルはOK)
・家に他人を招くのもNG
・生活用品の買い出しなどはOK
・散歩はOK
・外食はなし。テイクアウトはOK
・バンドで月3回の外出チケット

とか。4月の緊急事態宣言の自粛内容より具体的なんじゃないかっていうくらい決めてます。
「バンドで月3回の外出チケット」っていうのは、服とか美容室とか、生活必需品意外の外出をバンドとして3回までOKにしようという、まあ遊びの範疇です。1人が3回使ってもいいし、3人が1回づつでもいい。繰り越しはなしだけど、使わなくてもOK。このチケットをめぐってバンドメンバーの絆に消えない傷が残ってしまいそうな気もしますが、面白いから良しとしましょう。

で、なんでこんなこと決めたのかってことですね。バンド活動だけじゃなく、プライベートまで。

そもそも2020年内の屋外活動自粛ですが、決してネガティブな決定ではないんです。僕らはわりとポジティブな感情で決めました。ライブバンドなのにライブができないというこの状態で、どんな音楽が生まれるのか、それが楽しみなんですよ。
自粛って絶対にストレスたまりますし、考え方に変化も与えます。その中で、自由を謳うのか、不自由を謳うのか、葛藤や不安、または自由への憧憬を謳うのか。とにかく、これまでのHecatoncheir sistersとは違うものが出てくるはず。それが楽しみなんです。
となると、バンドとして活動自粛しながらプライベートでうろついてたらなんの意味もありません。何か新しいモノを生むためには自分たちの環境を変えないといけない。この自粛っていうのはそういう意味があると思っています。

メンバーそれぞれ思うことはいろいろあると思います。Vo.スマイはライブ大好きっ子だし、Ba.ドウチは徹底して自分に甘いから本当に自粛できるのかは非常に怪しい。
ファンの方もいろんな思いがあるとおもいます。7月12日に延期したツアーファイナルのワンマンライブを楽しみにしていた方も、スタジオライブを楽しみにしていた方もいると思います。

バンドとしてこういう決定をした以上、ワンマンライブより、スタジオライブより楽しめるコンテンツを出し続ける。今考えることはそれだけです。ちなみにすでに企画していることもあるので、そのうちHecatoncheir sistersのツイッターとかインスタとか、YouTubeで出てくると思います。
楽しみに待っておいて、とは言いませんので、面白そうだったら観てください。

意外と長くなってしまったので、そろそろ終わります。「SAVE THE LIVEHOUSE」でツアーオープンでお世話になったAtlantiQsの名前があったので、3枚ドリンクチケット購入させてもらいました。

新型コロナウイルス からライブハウスを守る活動

まあ年内は行くことないと思いますけど。たったこれだけでライブハウスの経営が救えるとは思っていないですが、この程度の支援が数百、数千と集まれば多くのライブハウスが救える。僕がこの企画を気に入っているのは、繰り返しになりますが、あくまでドリンク代の前払いで、実際支援する側の負担がないから。無理しなくていいし、よく行くライブハウスでドリンク一杯くらい追加で飲むよって人は、ぜひそのライブハウスを探してみてください。

次のライブは早くて2021年1月。でもコロナがぶり返すとか、さらに新型のコロナが出てくるとか、いろんな意見があるのでもしかしたらもっと先かも。

どんな状況になろうと、僕らはその時々で自分たちができるベストを尽くしていきたい。少なくとも、自分たちだけはベストだと思えることをやっていきたい。

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